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ED後、フェイズED前という微妙な位置のSSです。
なんだか暗いです;


 

久々に彼女の夢を見た。
彼女は最後に会ったあの時と同じ背格好のまま、遠くの草原に佇んでいる。二つに結んだ長い髪が風に揺られてなびき、彼女の影を動かしていた。時折髪が顔にかかる、その表情までは可視できる範囲にいないのでわからない。

――ああ、これは夢だ。

ふっと気付いて後悔した。
目の前に広がる光景の中の彼女が偽物だとわかってしまった。
みるみる辺りの色が失われるように風がやみ、草が止まり静寂が訪れる。
不意に自分を呼ぶ声が聞こえた気がした。懐かしい声の響きに胸が締め付けられるような感覚、けれどもう一度聞きたくて彼女の名前を口にする。








「…ふぇ…いず」
自分の唇を動かそうと夢の中で努力した結果が現実にも影響したようで、目が開ききっていない状態で自分の声が聞こえてきたことに理解が追い付かない。
体も起こさずにぼんやり目を開いたまま、今しがた口にした名と夢の内容を順々にたどっていく。


久々に彼の夢を見た。
彼は最後に会ったあの時と同じ背格好のまま遠くの草原に佇んでいる―――。

夢の内容をすべて思い出してから最後の彼の声をもう一度思い出そうとする。でも思うように思い出せなくて、変わりに余計なことばかりが頭をちらちらしてしまい結局途中で諦めて放棄した。
もう一度目を閉じたら聞けるんじゃないかとも思ったが、カーテンから漏れる光を見つけると呼ばれるようにしてベッドから足を降ろした。

――今日も独りの朝がやって来た。
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